bed prject 2000

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photo/minako

ベッド。
それは休むところ、心地よいところ、夢を見、新たなエネルギーを
得るところ。また逃げ場でもある。これは、わたし自身の体験の中で、
自分の中にある自分を守ろうとする自己防衛機能と重なる。

「手を汚す」という慣用句は、「悪いこと・好ましくないことを行う。」
という意味もあるが、「自分の身体で実際に体験し、労苦を味わって物
事を行う。」という対照的な意味合いを含んでいる。

私たち人間は、新しい力を得るために休む必要があるが、しかし、同時
に新しい世界を切り開き、創造するためには居心地の良い場所から出る
こともしなくてはならない。この心地の良い居場所の象徴でもあるベッド
に手で絵の具を塗る(手で汚す)という行為は、まさに自分の内にある
自己防衛機能を打ち破り前進することと、わたしが滞在したその当時の
アメリカの現状を現していた。

オバマ大統領は就任演説でこう語っている。「政府はやれること、
やらなければならないことをやるが、詰まるところ、わが国がよって立つ
のは国民の信念と決意である。堤防が決壊した時、見知らぬ人をも助ける
親切心であり、暗黒の時に友人が職を失うのを傍観するより、自らの
労働時間を削る無私の心である。我々の運命を最終的に決めるのは、
煙に覆われた階段を突進する消防士の勇気であり、子どもを育てる親の
意思である。我々の挑戦は新しいものかもしれない。我々がそれに立ち
向かう手段も新しいものかもしれない。しかし、我々の成功は、誠実や
勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠誠心、愛国心といった価値観に
かかっている。これらは、昔から変わらぬ真実である。
これらは、歴史を通じて進歩を遂げるため静かな力となってきた。
必要とされるのは、そうした真実に立ち返ることだ。いま我々に求められ
ているのは、新しい責任の時代に入ることだ。米国民一人ひとりが自分自
身と自国、世界に義務を負うことを認識し、その義務をいやいや引き受け
るのではなく喜んで機会をとらえることだ。困難な任務に我々のすべてを
与えることこそ、心を満たし、我々の個性を示すのだ。これが市民の代償
であり約束なのだ。これが我々の自信の源なのだ。神が、我々に定かでは
ない運命を形作るよう命じているのだ。」

30人以上の手で塗りたくられたベッドは、人々の手の痕跡によって、
目に見える一つの告白の形となる。