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痕 跡
<行きどころのない痛みと怒り>
2005年春。中国で学生による反日運動がありました。そのニュース、記事を見るたびに言葉では
表現出来ない思いが胸を締め付けました。イラクでは毎日のように自爆テロが起き、何百人という
人がまるで物のように死んで行っています。パレスチナとイスラエルは反目しあい。日本人は叫び、
北朝鮮は頑に日本を責める。私たちは、同時に被害者であり加害者なのです。
世界中が、やり場のない痛みと悲しみ、怒りと憎しみで喘いでいます。私は、自分がこの途方もない
痛みと怒りの前にあまりにも小さく無力で呆然とするばかりで、出来ることは祈ることだけでした。

<穴>
今年の2月の2人展の作品の中で穴が空いている物があります。その穴は、私に十字架に打たれた
釘の穴を連想させ、聖書にある「彼は、私たちの背全ての者の罪のために刺し通れ、砕かれた。」
また、「全ての敵意は十字架によって葬り去られた」という箇所を思い出させました。キリストの
手と足に釘が打ち付けられた時、そこには、時代をはるかに超えた全世界のすべての怒り、憎しみ
が集中しました。

その釘があけた穴。
それは、キリストが私たちのために支払った代価の痕跡。
そして、すべての憎しみと怒りが背負われた痕跡。

私たちには担うことの出来ない痛みと怒り。
それを全て背負った人がいる。.

様々な国々の友に手紙を出し、彼らの国の土を共に彼らの祈りを送ってもらいました。

送られて来た土を顔料として用い、穴の空いた木
の上に注いでいく。それは、それぞれの国の土地に、キリストの十字架がすでに
立てられ、そこにある痛みと怒りがそこに担われていることを宣言する。

願わくば、全ての痛みがいやされ、怒りが静められますように。
哀れみと赦しの奇跡が起こりますように。